オフシーズンのトレーニングプログラム:冬を制する者が春を制す
ゴルフシーズンが終わり、寒い冬が到来すると、多くのゴルファーはクラブをしまい込んでしまいます。しかし、プロゴルファーや上級者たちは、このオフシーズンこそが翌年のパフォーマンスを左右する重要な期間だと知っています。
研究によると、8週間のトレーニングプログラム(週3-4回)でクラブ速度、ボール速度、キャリー距離が向上することが証明されています。オフシーズンは通常12〜16週間あり、身体能力を根本から改善するには最適な期間なのです。
この記事では、オフシーズンに取り組むべきトレーニングプログラムの全てを解説します。適切なトレーニングを実施すれば、春のシーズン開始時には別人のようなパフォーマンスを発揮できるでしょう。
オフシーズントレーニングが必要な理由

ゴルフは一見、激しい運動ではないように見えますが、実際には全身の筋力、柔軟性、バランス、そして爆発力が求められるスポーツです。シーズン中は実際のラウンドや練習に時間を取られ、基礎的な身体能力の向上に十分な時間を割けません。
オフシーズンこそが、ゴルフに必要な身体能力を総合的に高める絶好の機会です。専門家によると、オフシーズンに体を鍛えることで、スイングメカニクス、飛距離、正確性、そして怪我の予防まで、あらゆる面での向上が期待できます。
さらに重要なのは、身体が変われば自然とスイングも変わるということです。筋力が増せばより力強いスイングができ、柔軟性が向上すれば可動域が広がり、バランスが良くなれば安定したスイングができるようになります。オフシーズントレーニングは、技術練習だけでは到達できない次のレベルへの扉を開くのです。
オフシーズントレーニングの5つの柱
効果的なオフシーズントレーニングプログラムは、以下の5つの要素をバランス良く含んでいる必要があります。
| トレーニング要素 | 目的 | 週あたりの推奨頻度 | 主な効果 |
|---|---|---|---|
| 柔軟性トレーニング | 可動域の拡大 | 毎日(5-10分) | スイングの深さ、怪我予防 |
| 筋力トレーニング | パワーの向上 | 週2-3回(60-90分) | 飛距離アップ、安定性 |
| 体幹トレーニング | バランスと安定性 | 週3-4回(20-30分) | スイングの一貫性 |
| 有酸素運動 | 持久力向上 | 週2-3回(30-45分) | 18ホールの体力維持 |
| 爆発力トレーニング | スピード向上 | 週1-2回(20-30分) | クラブヘッドスピード |
これらの要素を組み合わせることで、総合的なゴルフフィットネスを構築できます。ゴルフフィットネスの基礎については、別記事でも詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
具体的なトレーニングプログラム例

週3回プログラム(初心者向け)
月曜日:筋力+柔軟性
- ウォーミングアップ(動的ストレッチ):10分
- スクワット:3セット×12回
- デッドリフト:3セット×10回
- ベンチプレス:3セット×10回
- ラットプルダウン:3セット×12回
- プランク:3セット×30秒
- 静的ストレッチ:10分
水曜日:体幹+有酸素
- ウォーミングアップ:5分
- ロシアンツイスト:3セット×20回
- バードドッグ:3セット×10回(各側)
- サイドプランク:3セット×30秒(各側)
- デッドバグ:3セット×10回
- ジョギングまたはサイクリング:30分
- クールダウンストレッチ:5分
金曜日:全身+爆発力
- ウォーミングアップ:10分
- ゴブレットスクワット:3セット×15回
- ダンベルロウ:3セット×12回(各側)
- ショルダープレス:3セット×10回
- メディシンボールスロー:3セット×10回
- ボックスジャンプ:3セット×8回
- 柔軟性エクササイズ:15分
週4回プログラム(中級者向け)
より高い目標を持つゴルファーには、週4回のトレーニングプログラムがおすすめです。研究によると、最低週2-3回のレジスタンストレーニングが推奨されますが、4回行うことでさらなる効果が期待できます。
月曜日:下半身筋力 バーベルスクワット、ルーマニアンデッドリフト、ランジ、レッグカール、カーフレイズ、股関節柔軟性トレーニング
火曜日:体幹+回旋力 座位ソラシックローテーション、ケーブルウッドチョップ、ハンギングレッグレイズ、パロフプレス、アンチローテーションバンドワーク
木曜日:上半身筋力 ベンチプレス、ベントオーバーロウ、ショルダープレス、プルアップ、ダンベルフライ、バイセップカール、トライセップエクステンション
土曜日:爆発力+有酸素 メディシンボールスラム、ケトルベルスイング、ボックスジャンプ、バトルロープ、HIITカーディオ、ダイナミックストレッチ
オフシーズントレーニングの進め方
フェーズ1:基礎構築期(第1-4週)
オフシーズンの最初の1ヶ月は、基礎的な筋力と柔軟性の構築に集中します。この時期は無理をせず、正しいフォームを習得することを最優先にしましょう。
重量は軽めに設定し、各エクササイズのフォームを完璧にマスターします。適切なフォームで行うことで、怪我のリスクを最小限に抑えながら、効果を最大化できます。
フェーズ2:筋力向上期(第5-8週)
基礎ができたら、徐々に負荷を上げていきます。この時期は筋力と筋量の増加に焦点を当て、より重い重量で少ない回数のトレーニングを行います。
研究では、若手ゴルファーでも週1回12週間のトレーニングでクラブヘッドスピードとボールスピードが向上することが示されていますが、週3-4回行えばさらに顕著な効果が期待できます。
フェーズ3:パワー開発期(第9-12週)
オフシーズンの後半は、培った筋力を爆発的なパワーに変換する時期です。メディシンボールスロー、ジャンプ系エクササイズ、スピードトレーニングを増やしていきます。
この時期には効果的なゴルフ練習法と組み合わせることで、身体能力の向上をスイングに直接反映させることができます。
フェーズ4:シーズン準備期(第13-16週)
シーズン開始が近づいたら、トレーニングの強度を若干落とし、実際のゴルフの動きにより近い練習を増やしていきます。この時期は維持とコンディショニングに重点を置きます。
自宅でできるオフシーズントレーニング

ジムに通えない方でも、自宅で効果的なトレーニングが可能です。以下は最小限の器具で実施できるプログラムです。
必要な器具:
- レジスタンスバンド
- メディシンボール(5-7kg)
- ヨガマット
- ダンベル(5-15kg)2個
自宅トレーニングメニュー:
- 柔軟性エクササイズ
- ワールドグレイテストストレッチ:各側10回 - ソラシックローテーション:各側15回 - ヒップ90/90ストレッチ:各側30秒×3セット
- 筋力エクササイズ
- ゴブレットスクワット:15回×3セット - シングルレッグデッドリフト:各脚12回×3セット - プッシュアップ:15回×3セット - バンドロウ:20回×3セット
- 体幹エクササイズ
- プランクバリエーション:各30秒×3セット - デッドバグ:20回×3セット - バンドローテーション:各側15回×3セット
- 爆発力エクササイズ
- メディシンボールスラム:10回×3セット - スクワットジャンプ:10回×3セット - バンドウッドチョップ:各側12回×3セット
このプログラムを週3-4回実施するだけでも、春には明らかな違いを実感できるでしょう。
トレーニングの効果を最大化する栄養戦略
どれだけ優れたトレーニングプログラムでも、適切な栄養がなければ効果は半減します。オフシーズンのトレーニング期間中は、以下の栄養戦略を意識しましょう。
タンパク質摂取: 筋肉の回復と成長には十分なタンパク質が不可欠です。体重1kgあたり1.6-2.2gのタンパク質を目標に摂取しましょう。70kgの人なら1日112-154gが目安です。
炭水化物のタイミング: トレーニング前後は炭水化物をしっかり摂取し、エネルギー補給と回復を促進します。トレーニング1-2時間前におにぎりやバナナなどを食べ、トレーニング後30分以内にプロテインと炭水化物を摂取するのが理想的です。
水分補給: 冬でも体は水分を失います。1日2-3リットルの水を飲むことを心がけ、トレーニング中はこまめに水分補給しましょう。
モチベーションを維持する方法

オフシーズンのトレーニングは長期戦です。モチベーションを維持するために、以下の方法を試してみてください。
- 具体的な目標を設定する
「クラブヘッドスピードを5mph上げる」「体重の1.5倍のスクワットができるようになる」など、測定可能な目標を立てましょう。ゴルフメンタル強化法でも目標設定の重要性について解説しています。
- 進捗を記録する
トレーニング日誌をつけ、重量、回数、体調などを記録します。数週間後に振り返ると、確実に進歩していることが実感でき、モチベーションアップにつながります。
- トレーニング仲間を見つける
一人でのトレーニングは続けにくいものです。ゴルフ仲間と一緒にトレーニングすれば、お互いに励まし合いながら続けられます。
- 定期的に体力測定をする
4週間ごとに簡単な体力測定(クラブヘッドスピード、柔軟性テスト、筋力テストなど)を行い、進歩を可視化しましょう。
よくある間違いと注意点
オフシーズントレーニングを始める際、多くの人が犯しがちな間違いがあります。
やりすぎは禁物: 早く結果を出したいと焦り、過度なトレーニングをすると、かえって怪我のリスクが高まります。特に最初の4週間は、体を慣らす期間として、無理のない範囲で進めましょう。
ゴルフ特有の動きを無視しない: 一般的な筋トレだけでなく、ゴルフの動きに特化したエクササイズも必ず含めましょう。回旋運動、片足バランス、斜め方向の動きなどが重要です。
柔軟性をおろそかにしない: 筋力トレーニングばかりに集中すると、筋肉が硬くなり可動域が狭まる可能性があります。毎回のトレーニング後には必ずストレッチを行いましょう。
休養を軽視しない: 筋肉は休息中に成長します。週に1-2日は完全休養日を設け、体を回復させることが重要です。
シーズン開始に向けた準備
オフシーズンのトレーニングを終えたら、いよいよシーズン開始です。しかし、急にフルスイングでラウンドを始めるのは避けましょう。
シーズン移行期(2-3週間):
- トレーニング量を徐々に減らす
- ゴルフ練習の量を増やす
- 体力を維持しながら技術練習にシフト
最初のラウンド: 新しく獲得した筋力とスピードに体を慣らすため、最初の数ラウンドは80%程度の力でスイングしましょう。コースマネジメント戦略を活用しながら、徐々に体を慣らしていくのが賢明です。
まとめ:オフシーズンこそが差をつけるチャンス
ゴルフのオフシーズンは、単なる休養期間ではなく、翌年のパフォーマンスを大きく左右する重要な成長期間です。この記事で紹介したトレーニングプログラムを実践すれば、春のシーズン開始時には以前とは別人のようなパフォーマンスを発揮できるでしょう。
研究でも証明されているように、計画的なオフシーズントレーニングは、クラブヘッドスピード、飛距離、正確性、そして怪我の予防まで、あらゆる面での向上をもたらします。
今年の冬こそ、クラブをしまい込むのではなく、自分の体を最高のゴルフマシンに変える絶好の機会として活用してください。春が来る頃には、あなたのゴルフが確実に次のレベルに到達しているはずです。
オフシーズンを制する者が、シーズンを制す。今日からあなたも、計画的なトレーニングプログラムを始めてみませんか?






