ゴルフ会員権市場の動向:2024-2025年の最新トレンド分析
ゴルフ会員権市場は、コロナ禍を経て「第三次ゴルフ会員権ブーム」と呼ばれる活況期を迎えています。本記事では、2024年から2025年にかけての市場動向、価格推移、需給バランス、そして今後の展望について、最新のデータと実例を交えて詳しく解説します。これからゴルフ会員権の購入を検討している方、あるいは売却を考えている方にとって、市場を正しく理解することは極めて重要です。
2024年のゴルフ会員権市場概況:右肩上がりの成長継続

2024年のゴルフ会員権市場は、前年に続き堅調な成長を記録しました。全体の相場は約9%上昇し、2022年の6%、2023年の10%に続く右肩上がりの成長トレンドが継続しています。この成長は一過性のものではなく、構造的な需要の高まりを反映したものです。
関東圏の150コース指定銘柄平均値で見ると、2023年12月時点の255万円から2024年6月には273万円へと18万円(約7%)上昇しました。さらに注目すべきは、2024年11月時点では関東150コースの平均価格が298万円に達し、15年ぶりの高値水準を記録していることです。
この市場の活況は、新型コロナウイルスの流行を契機に始まったゴルフブームが定着し、会員権需要が実需に支えられた形で推移していることを示しています。かつてのバブル期のような投機的な動きではなく、実際にプレーを楽しみたいというニーズが市場を下支えしている点が、今回のブームの大きな特徴と言えるでしょう。
全国平均で見ると、2025年11月時点で111.5~111.6万円で推移しており、年内レンジの上限近辺(9月高値111.8万円)で安定的に取引されています。ゴルフコース運営市場全体は長期的には縮小傾向にあり(2024年で1,050億円、2002年の1,230億円から減少)、一方でゴルフ参加者数は回復基調にあるため、限られたパイを巡る競争が会員権価格を押し上げている構造が見て取れます。
具体的な価格上昇事例:驚異的な値上がりを記録したゴルフ場

個別のゴルフ場を見ると、驚異的な価格上昇を記録したケースが数多く報告されています。これらの事例は、市場全体のトレンドを象徴的に示すものです。
まず、総武カントリークラブの例を見てみましょう。2024年1月時点で280~340万円だった会員権相場が、わずか1年足らずの12月には410~500万円へと上昇し、約1.46倍の値上がりを記録しました。この急激な価格上昇は、都心からのアクセスの良さと名門コースとしての評価が背景にあります。
さらに劇的なのが、日光カントリークラブと大利根カントリークラブの例です。日光CCは令和2~3年ごろには30~40万円で取引されていた会員権が、現在では400万円前後に達しています。実に10倍以上の価格上昇です。同様に、大利根CCも令和2~3年ごろの300~400万円から、現在では950万円前後へと約3倍近い上昇を見せています。
以下の表は、主要ゴルフ場の会員権価格推移をまとめたものです:
| ゴルフ場名 | 2021-2022年価格 | 2024年価格 | 上昇率 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 総武CC | 280-340万円 | 410-500万円 | 約1.46倍 | 都心アクセス良好な名門 |
| 日光CC | 30-40万円 | 400万円 | 約10倍超 | 劇的な価格上昇 |
| 大利根CC | 300-400万円 | 950万円 | 約3倍 | 人気急上昇 |
| 横浜CC | 価格変動大 | 年間4-5倍上昇 | 4-5倍 | 神奈川県の人気コース |
| 飯能GC | 価格変動大 | 年間4-5倍上昇 | 4-5倍 | 埼玉県の名門 |
| 狭山GC | 価格変動大 | 年間4-5倍上昇 | 4-5倍 | アクセス良好 |
| 関東150コース平均 | 255万円 | 298万円 | 約1.17倍 | 15年ぶり高値 |
これらの価格上昇は、コロナ禍を経てゴルフの価値が再評価され、特に人気の高いコースへの需要が集中した結果です。都心からのアクセス、コースの質、クラブハウスの設備、メンバーの質など、総合的な魅力を持つゴルフ場に資金が集まる傾向が顕著になっています。
一方で、全てのゴルフ場が等しく値上がりしているわけではありません。アクセスが悪い、施設が老朽化している、経営状態が不安定などの要因を持つゴルフ場では、買い手がつかず価格が低迷しているケースも見られます。市場の二極化が進行している点にも注意が必要です。
需給バランスの変化:売り物不足と買い需要の継続

現在のゴルフ会員権市場の最大の特徴は、「買いは入るが売りはない」という需給の不均衡状態にあることです。特に人気の高いゴルフ場では、購入希望者は多数いるものの、売却を希望する会員が少なく、結果として価格が上昇し続ける構造になっています。
この背景には、いくつかの要因が考えられます。第一に、コロナ禍でゴルフの魅力を再発見した会員が、会員権を手放す必要性を感じていないこと。第二に、会員権価格が上昇トレンドにあるため、「もう少し待てばさらに高く売れる」という心理が働き、売却を控える動きがあること。第三に、実需での購入が中心であるため、投機目的での短期売買が少なく、一度購入した会員権は長期保有される傾向があることなどです。
需要側を見ると、新規参入者の増加が顕著です。特に注目されているのが若年層と女性層の参入です。従来、ゴルフ会員権は中高年男性が中心の市場でしたが、近年では30代、40代の若手ビジネスパーソンや、女性ゴルファーによる購入が増加しています。2023年の調査では参加率が5.5%とやや減少したものの、2024年には8,790万人がゴルフ場を訪れており、2019年の8,650万人を超える水準に回復しています。
また、企業会員権の動向も市場に影響を与えています。全体の会員権保有者のうち15.0%が法人会員であり、企業の福利厚生や接待の一環としてゴルフ会員権を保有するケースが一定数存在します。経済活動の正常化に伴い、企業によるゴルフ会員権需要も緩やかに回復傾向にあります。
供給側の制約も価格上昇の要因となっています。現在、日本国内で運営されているゴルフ場は約2,200コースで、ピーク時の2,800コースから大幅に減少しています。ゴルフ人口が増加傾向にある一方で、ゴルフ場の数が減少していることで、残存するゴルフ場、特に優良なゴルフ場への需要が集中する構造が生まれています。
地域別市場動向:関東圏を中心とした価格上昇

地域別に見ると、関東圏の市場が最も活発で、価格上昇も顕著です。関東圏は都心からのアクセスが良い名門コースが集中しており、需要が特に強い地域です。前述の通り、関東150コースの平均価格は298万円と15年ぶりの高値水準に達しています。
関東圏で特に人気が高いのは、神奈川県、埼玉県、千葉県のゴルフ場です。神奈川県の横浜カントリークラブは、2021年の年初から年末にかけて会員権価格が4~5倍に急上昇した代表例です。同様に、埼玉県の飯能ゴルフクラブや狭山ゴルフクラブも同期間に4~5倍の価格上昇を記録しました。
これらの地域が人気を集める理由は明確です。都心から1~2時間程度でアクセスでき、平日の早朝や休日に気軽にプレーできる利便性が高く評価されています。また、関東圏のゴルフ場は歴史ある名門コースが多く、コース設計、メンテナンス、クラブハウスの質が高いことも魅力です。
一方、関東圏以外の地域では、市場の動きはやや異なります。全国平均が111万円台で推移している中、関東平均が298万円であることからも、地域間の価格差が大きいことが分かります。地方のゴルフ場では、地域人口の減少や高齢化の影響を受け、需要が伸び悩んでいるケースも見られます。
ただし、地方であっても、観光地としての魅力を持つ地域や、リゾート地に位置するゴルフ場では、別荘需要やゴルフ旅行需要と結びついて、一定の人気を保っているケースもあります。北海道のリゾートゴルフ場や、軽井沢、那須などの高原リゾート地のゴルフ場は、プレー環境の良さと観光の組み合わせで独自の需要を獲得しています。
投資価値としてのゴルフ会員権:実需中心の市場へ

かつてのバブル期には、ゴルフ会員権は投資・投機の対象として取引されていました。しかし、現在の市場は本質的に異なります。購入者の大半は、実際にゴルフをプレーすることを目的とした実需での購入です。
この変化は、市場の健全性を示すポジティブなサインと言えます。投機的な売買が中心の市場では、価格の乱高下が激しく、バブル崩壊時のような急激な価格下落のリスクが常につきまといます。一方、実需中心の市場では、価格はゴルフ場の実質的な価値(コースの質、アクセス、メンバーシップの魅力など)を反映する形で形成されるため、より安定的な価格推移が期待できます。
とはいえ、結果的に資産価値が上昇しているケースが多いのも事実です。特に人気の高いゴルフ場の会員権は、過去数年で2倍、3倍、中には10倍以上に値上がりしたものもあり、投資としての側面も無視できません。ただし、これは投機的な取引の結果ではなく、実需の高まりが価格上昇をもたらしているという点が重要です。
将来的に会員権を売却する可能性を考慮すれば、購入時には以下の点を確認することが賢明です。第一に、ゴルフ場の立地とアクセスの良さ。第二に、コースの質とメンテナンス状況。第三に、クラブハウスなどの施設の充実度。第四に、会員の質とクラブの雰囲気。第五に、ゴルフ場の経営状態と財務健全性です。
これらの要素が優れているゴルフ場の会員権は、将来的にも価値を保持しやすく、場合によってはさらなる価格上昇の可能性もあります。一方、これらの要素に問題があるゴルフ場では、たとえ現時点で価格が安くても、将来的に売却が困難になるリスクがあります。
2025年以降の市場展望:堅実な成長が続く見通し
2025年以降のゴルフ会員権市場は、2024年までのような急激な価格上昇は一服するものの、堅実な成長が続くと予想されています。市場関係者の多くは、実需に支えられた安定的な相場展開を見込んでいます。
この予測の根拠として、いくつかの要因が挙げられます。第一に、ゴルフ人口の安定的な推移です。コロナ禍をきっかけにゴルフを始めた人々の多くが、その後も継続的にプレーを楽しんでおり、一過性のブームで終わらない兆候が見られます。第二に、若年層と女性層の新規参入が続いていることです。従来のゴルファー層に加えて、新しい世代のプレーヤーが市場に流入することで、需要基盤が拡大しています。
第三に、ゴルフ場の供給が限定的であることです。新規のゴルフ場開発は環境規制や開発コストの面から極めて困難であり、既存のゴルフ場も経営難で閉鎖されるケースがある一方、新規開業はほとんどありません。結果として、優良なゴルフ場への需要は今後も強い状態が続く可能性が高いと見られています。
第四に、ゴルフのライフスタイル化が進んでいることです。単なるスポーツやレジャーとしてではなく、健康維持、ビジネスネットワーキング、家族や友人との交流の場として、ゴルフが多様な価値を提供するライフスタイルの一部として定着しつつあります。この傾向は、会員権需要の長期的な下支えとなるでしょう。
ただし、全てのゴルフ場が均等に恩恵を受けるわけではありません。今後も市場の二極化は進行すると予想されます。都心からのアクセスが良い名門コースや、独自の魅力を持つリゾートコースは引き続き高い需要を維持する一方、立地やコースの質に課題があるゴルフ場は厳しい状況が続く可能性があります。
経済全体の動向も市場に影響を与えます。景気が堅調に推移すれば、企業会員権の需要増加や個人の購買力向上により、市場はさらに活性化する可能性があります。逆に、景気が悪化すれば、会員権需要も冷え込むリスクがあります。ただし、過去のデータを見ると、ゴルフ会員権市場は景気変動の影響を受けるものの、実需中心の現在の構造では、バブル期のような極端な価格変動は起こりにくいと考えられます。
また、ゴルフツーリズム市場の成長も追い風となる可能性があります。2024年前半のゴルフツーリズム市場は年率3.4%で成長し、後半には3.9%、2025年には5.5%の成長率が見込まれています。国内外からのゴルフ旅行者の増加は、ゴルフ場の収益性向上につながり、間接的に会員権の価値を支える要因となります。
会員権購入を検討する際のポイント
最後に、これからゴルフ会員権の購入を検討している方に向けて、重要なポイントをまとめます。
立地とアクセス:自宅や職場からの距離、交通手段、所要時間を十分に確認しましょう。頻繁に通えない場所のゴルフ場では、会員権の価値を十分に享受できません。
コースの質と評判:実際にビジター料金でプレーしてみることをお勧めします。コースのレイアウト、メンテナンス状況、難易度、景観などを自分の目で確認することが重要です。また、ゴルフコース完全ガイドで詳しく解説しているように、コースの特性を理解することも大切です。
会員の雰囲気とクラブ文化:ゴルフ会員権を購入するということは、そのクラブのコミュニティに参加することを意味します。クラブの雰囲気、会員の年齢層や職業構成、イベントやコンペの頻度などを事前に調査しましょう。
経営状態の確認:ゴルフ場の財務状況、経営会社の信頼性、過去の経営トラブルの有無などを確認することは極めて重要です。経営が不安定なゴルフ場では、将来的に倒産や会員権の無価値化のリスクがあります。
価格の妥当性:現在の相場と過去の価格推移を確認し、適正な価格で購入することが重要です。急激に値上がりしているゴルフ場では、高値掴みのリスクもあります。複数の会員権業者に相談し、市場価格を正確に把握しましょう。
諸費用の確認:会員権の購入価格だけでなく、入会金、年会費、預託金の有無と返還条件、名義変更料などの諸費用を総合的に計算しましょう。ランニングコストが高すぎると、長期的な負担が大きくなります。
売却の可能性:将来的に売却する可能性を考慮し、流動性の高い(売買が活発な)ゴルフ場の会員権を選ぶことも一つの戦略です。人気の高いゴルフ場ほど、売却時にスムーズに買い手が見つかります。
ゴルフルールとマナー完全ガイドやゴルフ競技完全ガイドで解説されているように、会員としての責任やマナーを理解することも、充実したメンバーライフを送るために重要です。
まとめ:実需に支えられた健全な市場成長
ゴルフ会員権市場は、コロナ禍を経て第三次ブームを迎えており、2024年も約9%の成長を記録しました。関東圏を中心に、名門ゴルフ場の会員権は15年ぶりの高値水準に達し、個別のゴルフ場では数倍から10倍以上の価格上昇を見せているケースもあります。
この市場の最大の特徴は、バブル期のような投機的な動きではなく、実際にゴルフをプレーしたいという実需に支えられている点です。「買いは入るが売りはない」という需給の不均衡が価格上昇をもたらしており、若年層や女性層の新規参入も市場を活性化させています。
2025年以降も、堅実な成長が続くと予想されています。ゴルフ場の供給が限定的である一方、ゴルフ人口は安定的に推移し、新しい世代のプレーヤーが市場に参入し続けることで、需要基盤は拡大傾向にあります。ただし、市場の二極化は進行しており、優良なゴルフ場とそうでないゴルフ場の格差は拡大する可能性があります。
会員権の購入を検討する際は、立地、コースの質、会員の雰囲気、経営状態、価格の妥当性などを総合的に判断することが重要です。長期的な視点で、自分にとって本当に価値のあるゴルフ場を選ぶことで、充実したゴルフライフと資産価値の両方を享受できるでしょう。市場データと実例を参考にしながら、賢明な判断を行うことをお勧めします。






