距離感を磨くパッティング練習
パッティングで最も重要なスキルの一つが距離感です。プロゴルファーのデータによると、3パットの80%以上が距離感のミスによるもので、方向性のミスではありません。パッティングの打数はスコア全体の約40%を占めるため、距離感を磨くことがスコアアップへの最短ルートと言えるでしょう。
この記事では、自宅でもコースでも実践できる効果的な距離感練習法を詳しく解説します。パッティング完全攻略:スコアを決める最重要技術と合わせて読むことで、パッティングの総合力が飛躍的に向上します。
距離感が重要な理由とデータ

PGAツアーのデータ分析によると、プロでも17フィート(約5.2m)からのパット成功率は約18%にすぎません。しかし、ファーストパットを3フィート(約90cm)圏内に寄せることができれば、セカンドパットの成功率は80%以上に跳ね上がります。
これは何を意味するのでしょうか?つまり、ロングパットでは「入れる」ことよりも「寄せる」ことに集中すべきだということです。距離感が優れていれば、自然と3パットが減り、スコアが安定します。
日本のトッププロである宮里藍選手も、現役時代に距離感練習を最も重視していました。彼女は50cm間隔にティーを置き、目を閉じて打つ練習を何百回と繰り返したそうです。この練習法については後述します。
距離感を向上させることで、以下のような効果が期待できます:
- 3パット率の大幅な減少
- ロングパットへの自信向上
- グリーン上でのストレス軽減
- 全体的なスコアの安定化
効果的なゴルフ練習法:上達を加速させる方法でも解説していますが、短時間でも継続的に練習することが上達の鍵です。毎日5〜10分の距離感練習を習慣化しましょう。
自宅でできる距離感練習ドリル

ラダードリル(階段式距離練習)
ラダードリルは、フロリダのゴルフスクールで最も推奨される練習法の一つです。この練習は、等間隔にターゲットを設定し、順番に打っていくシンプルながら効果的な方法です。
実践方法:
- パターマットの上に、1m、2m、3m、4m、5mの位置にティーやコインを置く
- 1mから順番に打ち、各距離で3球ずつ練習する
- ターゲットから±30cm以内に収まることを目標とする
- 慣れてきたら、5m、4m、3mと逆順でも練習する
この練習のポイントは、振り幅とテンポの関係性を体に覚え込ませることです。1mは小さな振り幅で、5mは大きな振り幅というように、距離に応じた振り幅の基準を作りましょう。
参考記事:パター練習は効果絶大!精度を上げるための練習ドリルを紹介
目を閉じて打つ練習
宮里藍選手が実践していた有名な練習法です。視覚情報を遮断することで、純粋な感覚で距離感を磨くことができます。
実践方法:
最初は大きくズレると思いますが、繰り返すことで驚くほど正確に距離感が掴めるようになります。この練習を週に2〜3回、各10球程度行うだけで、1ヶ月後には明らかな変化を実感できるでしょう。
参考記事:距離感はどうやって養う?宮里藍も繰り返した超効果的なドリル
カップを見ながら打つ練習
この練習は、自然な距離感を育てるのに最適です。ボールではなくカップを見ながら打つことで、投げる動作に近い感覚でストロークできます。
実践方法:
- ターゲット(カップまたはマーカー)を設定する
- アドレスに入る
- 顔を上げて、ターゲットを見たままストロークする
- ボールは周辺視野で捉え、ターゲットから目を離さない
この練習は、ラウンド前のウォーミングアップとしても効果的です。3〜5球程度、軽く行うだけで距離感が整います。
振り幅別距離測定
自分の基準となる距離を把握する練習です。この基準があることで、コース上で迷いなくストロークできます。
実践方法:
- バックスイングの振り幅を「ボール2個分」「3個分」「4個分」と設定する
- 各振り幅で10球ずつ打ち、平均飛距離を測定する
- 測定結果をメモに記録する(例:ボール2個分=2m、3個分=4m、4個分=7m)
- この基準を元に、コース上で必要な距離に合わせて振り幅を選択する
この練習は月1回程度行い、基準を更新していくことをお勧めします。気温や体調によっても飛距離は変化するため、定期的な確認が重要です。
参考記事:パターの距離感の合わせ方!効果的な距離感のつかみ方とコツ
コースでできる実践的練習

セーフティゾーンドリル
PGAツアーのプロたちが頻繁に行う練習です。カップ周辺に「安全地帯」を設定し、そのゾーン内に収めることを目標とします。
実践方法:
ラウンド前の練習グリーンでこのドリルを行うと、その日のグリーンスピードにも慣れることができ、一石二鳥です。
参考記事:Putting Drills For Distance Control - Golf Monthly
クロックドリル(時計盤練習)
グリーンの起伏や傾斜を考慮した実践的な練習法です。
実践方法:
- カップを中心に、時計の12時、3時、6時、9時の位置にマーカーを置く
- 各位置から7〜8mの距離で練習する
- 上り、下り、横からのラインを全て経験する
- 各方向で2球ずつ、計8球を90cm圏内に収めることを目標とする
この練習により、様々なラインでの距離感の違いを体感できます。特に下りのラインは距離感が難しいため、重点的に練習しましょう。
アンダーハンドトス(手で転がす練習)
ツアープロが練習ラウンドでよく行う方法です。パターを使わず、手でボールを転がすことで純粋な距離感を磨きます。
実践方法:
- グリーン上で、カップから10m程度離れた位置に立つ
- ボールを手に持ち、下手投げでカップに向けて転がす
- カップまでの距離、グリーンの速さ、傾斜を感覚で把握する
- 3〜5球転がした後、実際にパターで打つ
この練習は、グリーンリーディングの能力も同時に向上させます。ボールを転がす際に、芝目や傾斜の影響をリアルに感じ取ることができるからです。
コースマネジメント戦略:頭を使ってスコアアップでも解説していますが、グリーンの状況を正確に読むことは、スコアメイクに不可欠です。
距離感向上のための重要ポイント

テンポの一定化
距離感が安定しない最大の原因は、テンポの不安定さです。ストロークのリズムが毎回変わると、同じ振り幅でも飛距離が大きく変化してしまいます。
「1秒ストローク」という概念が効果的です。バックスイングに0.5秒、フォロースルーに0.5秒、合計1秒のリズムを常に保つことで、距離感が飛躍的に安定します。
メトロノームアプリを使って、1秒のリズムを体に染み込ませる練習をお勧めします。最初は違和感があるかもしれませんが、2週間続ければ自然なリズムとして定着します。
スイートスポットで打つ重要性
パターフェースの中心(スイートスポット)で打つことは、距離感の安定に直結します。スイートスポットを外すと、同じ振り幅でも飛距離が20〜30%変わってしまうことがあります。
スイートスポットで打つための練習:
- パターフェースに小さなシールを貼る(中心点を明確にする)
- ボールにラインを引き、そのラインとシールが一致するようにセットする
- 打球後、ボールのラインの消え方でインパクトの位置を確認する
- 常に同じ場所でインパクトできるまで繰り返す
グリーンスピードへの適応
コースによって、またその日のコンディションによって、グリーンの速さは大きく変わります。この違いに素早く適応することが、安定したスコアを出すために重要です。
グリーンスピードへの適応法:
| 状況 | 対応方法 |
|---|---|
| 速いグリーン | 振り幅を通常の70〜80%に抑える。テンポはゆっくりめに。 |
| 遅いグリーン | 振り幅を通常の120〜130%に拡大。テンポはしっかりめに。 |
| 朝のラウンド | 露で遅くなるため、やや強めに打つ意識を持つ。 |
| 午後のラウンド | 乾燥して速くなるため、朝より弱めのタッチで。 |
ラウンド前の練習グリーンで、必ず長めのパット(10m以上)を数球打って、その日のグリーンスピードを把握しましょう。この5分間の投資が、3パットを2〜3回減らしてくれます。
メンタル面での距離感
技術的な練習も重要ですが、メンタル面での準備も距離感に大きく影響します。緊張すると、無意識にストロークが速くなり、距離感が狂いやすくなります。
ゴルフメンタル強化法:心を整えてベストプレーでも詳しく解説していますが、深呼吸とプレショットルーティンの確立が効果的です。
距離感を安定させるルーティン:
- カップまでの距離を歩測で確認する(歩数×90cm=距離)
- ボールの後ろから全体のラインを確認する
- 2回の素振りで距離感を確認する(カップを見ながら)
- 深呼吸を1回してから、迷わずストロークする
このルーティンを毎回同じように実行することで、プレッシャーのかかる場面でも落ち着いて距離感を出せるようになります。
距離別の具体的な攻略法

ショートパット(1〜3m)
この距離では、距離感よりも方向性が重要です。しかし、距離感が大きく狂うと、返しのパットが難しくなります。
ポイント:
- テンポを一定に保つ
- フォロースルーをバックスイングと同じ長さにする
- カップの奥の縁を狙う意識(ショートは絶対に入らない)
ミドルパット(3〜7m)
この距離が最も3パットを減らすための鍵となります。入れにいくよりも、確実に90cm圏内に寄せることを優先しましょう。
ポイント:
- カップの半径90cmの円を想像する
- その円の中に入れることだけを考える
- 上りのラインなら強めに、下りなら弱めに調整
ロングパット(7m以上)
プロでもこの距離での1パット率は極めて低いため、「2パットで上等」という意識が大切です。
ポイント:
- カップではなく、カップ周辺の1m圏内を狙う
- 大きな振り幅でも、テンポは変えない
- グリーンの傾斜を最大限に利用する
- 打つ前に、ボールがカップに向かって転がるイメージを明確に描く
参考記事:Lag Putting in Golf - Distance Control Drills to Lower Your Scores
距離感練習の効果を最大化するコツ
練習の記録をつける
練習の効果を測定し、改善点を明確にするために、記録をつけることをお勧めします。
記録する項目:
- 練習日時
- 行ったドリルの種類
- 各距離での成功率(90cm圏内に入った確率)
- その日の調子や気づいた点
スマートフォンのメモアプリで簡単に記録できます。1ヶ月後に見返すと、自分の成長が可視化され、モチベーション向上にもつながります。
定期的な練習の継続
距離感は一朝一夕には身につきません。しかし、毎日5〜10分の練習を継続することで、確実に向上します。
週末のラウンド前だけの練習よりも、平日の自宅で毎日少しずつ練習する方が、はるかに効果的です。パターマット1枚あれば、十分に距離感を磨くことができます。
パター選びも重要
パター自体が自分に合っていないと、どんなに練習しても距離感は安定しません。
距離感に優れたパターの特徴:
- 適度な重量(自分がコントロールしやすい重さ)
- インサートの柔らかさ(打感が良く、フィードバックが明確)
- ヘッドの形状(自分の目とフィーリングに合ったもの)
ゴルフ用品完全ガイド:クラブからウェアまででは、パター選びの詳細なポイントを解説しています。
まとめ:距離感練習で3パットを撲滅しよう
距離感はパッティングにおいて最も重要なスキルです。PGAツアーのデータが示すように、3パットの80%以上は距離感のミスが原因です。
この記事で紹介した練習法を実践することで、以下のような効果が期待できます:
- 3パット率の劇的な減少 - 18ホールで2〜3回の3パットが、0〜1回に改善
- ロングパットへの自信 - 10m以上のパットでも、臆せず打てるようになる
- スコアの安定化 - パット数が安定することで、全体のスコアも安定する
- メンタルの改善 - パッティングへの不安が減り、プレー全体が楽になる
まずは自宅でできるラダードリルや目を閉じて打つ練習から始めてみてください。毎日5〜10分の継続が、1ヶ月後、3ヶ月後に大きな違いを生み出します。
スコアメイク術:効率的にスコアを縮める方法でも解説していますが、パッティングの改善は最も即効性のあるスコアアップ方法です。今日から距離感練習を始めて、3パット撲滅を実現しましょう。






