ゴルフ場経営の現状と課題
日本のゴルフ場経営は、かつての「バブル期の華やかな時代」から大きく様変わりしています。2024年度のゴルフ場市場規模は8100億円で前年度比3.0%増と4年連続で増加しているものの、多くのゴルフ場が深刻な経営課題に直面しています。本記事では、ゴルフ場経営の現状と直面する課題、そして成功事例から学ぶ改善策について詳しく解説します。
ゴルフ場経営者だけでなく、ゴルフ愛好家にとっても、お気に入りのコースが今後も存続できるかどうかは重要な問題です。ゴルフコース完全ガイドでコースの魅力を知ったうえで、その経営状況についても理解を深めましょう。
日本のゴルフ場経営の現状
市場規模と業績動向
帝国データバンクの調査によると、2024年度のゴルフ場市場規模は8100億円で、前年度比3.0%増となり、4年連続で増加しました。市場規模で8000億円を超えたのは2018年度以来、6年ぶりの快挙です。

業績動向では、「増収」が39.8%と最も多く、損益面では「増益」となった企業が38.1%でした。しかし一方で「赤字」も24.7%存在しており、ゴルフ場経営が二極化している状況が浮き彫りになっています。
地域格差の拡大
全国的には市場規模が拡大している一方で、地方を中心に経営の厳しいゴルフ場が増加しています。地方では少子高齢化の影響でゴルフ人口が減少し、供給過多が問題となっています。
都市部近郊のアクセスの良いゴルフ場は比較的堅調ですが、地方の交通不便な立地のゴルフ場は集客に苦戦しており、業界再編が避けられない状況です。ゴルフ旅行完全ガイドでさまざまなコースを訪れる際も、こうした経営格差を感じることがあるかもしれません。
倒産事例の増加
2024年1月24日には、長野県伊那市の信州伊那国際ゴルフクラブが倒産しました。また、宮城県名取市の仙台空港カントリークラブや静岡県御殿場市の東名小山カントリークラブも経営破綻を迎えています。
これらの倒産事例は、経営課題への対応が遅れた結果であり、他のゴルフ場にとっても他人事ではありません。
ゴルフ場経営が直面する主な課題
1. 2025年問題:団塊世代の引退
最も深刻な課題が「2025年問題」です。2025年には団塊の世代が70歳を超え、これまで日本のゴルフ人口の中核を担ってきた世代のプレイヤーがゴルフから引退していくと予想されています。

フロンティア・マネジメントの分析によると、この人口動態の変化により、ゴルフ人口が激減することが懸念されています。団塊の世代に依存してきたゴルフ場は、新たな顧客層の開拓が急務となっています。
若年層の獲得は容易ではありません。地方ほど若者(20代・30代)プレイヤーの獲得に時間とお金をかける必要があり、2024年に若者プレイヤーの獲得ができなければ2019年以前の赤字経営に逆戻りする施設が増加すると予想されています。ゴルフ初心者完全ガイドのような情報提供を通じて、新規層を育てることも重要です。
2. 預託金返還問題
多くのゴルフ場が抱える深刻な問題が、会員から預かった預託金の返還義務です。バブル期に多額の預託金を集めたゴルフ場は、その返還が経営を圧迫しています。
ゴルフ経済Webの報道によると、預託金返還は通常の収益力からも償還の目途は立ちづらく、その場しのぎの対応を行っているゴルフ場も見受けられます。
預託金返還期限の延長を繰り返すことで、会員との信頼関係が損なわれるケースも少なくありません。この問題の根本的解決には、M&Aによる資本強化や債務整理が必要な場合もあります。
3. 施設の老朽化問題
全国のゴルフ場の大半は、バブル期のゴルフ場造成ブームで建設されたため、1990年代までにオープンした施設が多く、築30年以上を経過したクラブハウスが増加しています。
老朽化したクラブハウスは、建物、空調、厨房、風呂設備の痛みが激しく、ランニングコストと補修費増に直面しています。大規模な改修には数億円規模の投資が必要ですが、収益力が低下している中での投資は経営判断が難しい状況です。
施設の老朽化は顧客満足度の低下にもつながり、新規顧客の獲得やリピーター確保の障害となっています。
4. コスト上昇の圧力
人件費の上昇
人手不足が深刻化し、従業員のベースアップや賞与の増加、派遣キャディの人件費上昇などにより、販売管理費が増加しています。特にキャディ不足は深刻で、人件費が上昇する中でセルフプレーへの移行を余儀なくされるゴルフ場も増えています。
エネルギーコストと資材価格
エネルギー関連費用や資材価格の上昇も経営を圧迫しています。クラブハウスの空調や風呂、コース管理に必要な電気・燃料費の上昇は避けられません。
また、コース管理に必要な肥料や農薬などの資材価格も上昇しており、コース品質を維持しながらコストを抑えるバランスが求められています。ゴルフコース完全ガイドで美しいコースの魅力を感じる裏側には、こうしたコスト管理の苦労があります。
5. インドアゴルフとの競争
近年、インドアゴルフ練習場が急速に普及しています。天候に左右されず、都市部の好立地で24時間営業が可能なインドアゴルフは、特に若年層や時間制約のあるビジネスパーソンに人気です。
従来型のアウトドアゴルフ練習場やゴルフ場は、インドアゴルフとの差別化が必須となっています。実際のコースでのラウンド体験や自然環境の中でのプレーといった、アウトドアならではの価値を訴求する必要があります。
ゴルフ場経営の収益改善策と成功事例
平日稼働率の向上
スリードット株式会社の事例によると、あるゴルフ場では「平日の稼働率を20%向上させる」という具体的な目標を設定し、平日限定の割引やイベントを企画したところ、目標達成に成功しました。

平日は週末に比べて稼働率が低い傾向がありますが、平日ゴルファー向けの特別プランや、リタイア層向けのサービスを充実させることで、収益の平準化が可能です。
| 施策 | 効果 | 実施難易度 |
|---|---|---|
| 平日割引プラン | 稼働率向上 | 低 |
| シニア向けイベント | リピーター獲得 | 中 |
| レディースデー | 女性客増加 | 低 |
| ビジネス利用促進 | 企業顧客獲得 | 中 |
| 会員優待強化 | 会員満足度向上 | 中 |
施設の多角的活用
レストランや宴会場を併設し、ウェディングや各種パーティーに貸し出すことで、収益の多角化が可能です。ゴルフをしない顧客層にもアプローチできる点がメリットです。
また、打ちっぱなし練習場や子供向けの遊び場を設置することで、幅広い年齢層にサービスを提供し、新たな顧客層を開拓できます。効果的なゴルフ練習法を求める練習熱心なゴルファーにとっても、充実した練習施設は魅力です。
天候リスク対策
屋内練習場やシミュレーターを設置することで、天候に依存しない収益源を確保する方法が有効です。雨天時でも営業できる施設があれば、キャンセルによる機会損失を防げます。
最新のゴルフシミュレーターは、世界の有名コースをバーチャルで体験できるため、新たな付加価値として顧客に提供できます。
コスト削減の実践
営業工程の自動化によって社員を一人減らすだけでも、年間にして1,000万円ほどの経費削減が可能です。ゴルフ場の予約については、現在ではネット上からすべて可能で、従業員がわざわざ対応する必要はありません。
成功事例では、品質維持とコスト削減を両立する実践的手法により、年間146tのCO2削減と大幅経費削減を実現しています。環境に配慮した経営は、企業イメージの向上にもつながります。
ターゲティングとサービス差別化
儲かるゴルフ場の場合は、ターゲット層がしっかりと絞られています。女性なら女性が入りやすい空間づくり、仕事帰りのサラリーマンが立ち寄りやすい雰囲気づくりを行っています。
手ぶらでも足を運びやすいように道具一式を貸し出すシステムや、家族連れでも過ごしやすいようにキッズスペースやレストランを併設するなどの工夫が効果的です。ゴルフ用品完全ガイドで必要な道具を知った初心者でも、レンタルがあれば気軽に始められます。
デジタル化の推進
クラウド型のシステムを導入することで、オンライン予約や予約システムの自動化などの業務効率化が図れます。デジタルマーケティング手法を取り入れることで、効率よく集客力を高めることが可能です。
NBC Sports Nextの調査によると、50%以上のゴルファーが予約前にオンラインレビューを確認しています。オンライン上での評判管理とデジタルマーケティングが、現代のゴルフ場経営には欠かせません。
グローバルなゴルフ業界のトレンド
参加者数の増加
グローバルに見ると、ゴルフ業界は成長しています。2024年には28百万人を超えるゴルファーが参加し、7年連続での増加を記録しました。また、5億4500万ラウンドというプレー回数は、過去最高を更新しています。
この成長トレンドは、ゴルフが依然として魅力的なスポーツであることを示しています。日本のゴルフ場も、この世界的な成長の波を捉えるチャンスがあります。
共通する経営課題
世界的に共通する課題として「水不足、気候変動、熟練労働者不足」が挙げられています。特に水不足と水コストの上昇は、コース管理における最大の懸念事項となっており、日本のゴルフ場も同様の課題に直面する可能性があります。
テクノロジーの活用
世界的には、AIチャットボット、GPS機能付きモバイルチェックイン、自動ダイナミック価格設定、AI搭載の天候ベンチマーク分析ツールなどが業界標準になりつつあります。
ゴルフコース管理ソフトウェア市場は、2024年の6億ドルから2033年には12億ドルに成長すると予測されており、テクノロジー投資の重要性が高まっています。
ゴルフ場の未来に向けて
新規顧客層の開拓
ゴルフ場の持続可能な経営には、若年層や女性、ファミリー層など、新規顧客層の開拓が不可欠です。従来の「会員制・接待ゴルフ」のイメージから脱却し、カジュアルで気軽に楽しめるゴルフの魅力を発信する必要があります。

ゴルフメンタル強化法やゴルフフィットネスなど、ゴルフを通じた健康増進やライフスタイル提案も効果的です。
会員との関係強化
既存会員との関係強化も重要です。預託金問題などで信頼関係が損なわれているケースもありますが、誠実なコミュニケーションと会員向けサービスの充実により、関係修復と強化を図るべきです。
会員限定イベントや優待サービスの拡充、会員の意見を経営に反映させる仕組みづくりなどが求められます。
環境への配慮
環境に配慮した経営は、社会的責任を果たすだけでなく、コスト削減にもつながります。節水設備の導入、再生可能エネルギーの活用、環境に優しいコース管理手法の採用などが考えられます。
グリーン経営は企業イメージの向上にもつながり、環境意識の高い若年層へのアピールにもなります。
M&Aと業界再編
経営課題を単独で解決できないゴルフ場は、M&Aによる資本強化や経営統合を検討する必要があります。実際、大手運営会社PGMグループなどによる買収・統合が進んでいます。
業界再編により、経営効率化やノウハウ共有、スケールメリットの享受が可能になります。プライドにこだわって単独経営にこだわるよりも、持続可能な経営を優先すべき時代です。
まとめ:変革と挑戦の時代
日本のゴルフ場経営は、2025年問題、預託金返還、施設老朽化、コスト上昇など、多くの課題に直面しています。しかし一方で、市場規模は4年連続で拡大し、成功事例も存在します。
重要なのは、現状維持ではなく、変革と挑戦です。デジタル化の推進、新規顧客層の開拓、施設の多角的活用、コスト管理の徹底など、できることから着実に実行していく必要があります。
ゴルフ愛好家である私たちも、お気に入りのゴルフ場が今後も存続できるよう、積極的に利用し、応援していきましょう。コースでのラウンド攻略を楽しみながら、ゴルフ場の経営にも思いを馳せることで、より深いゴルフ体験が得られるはずです。
ゴルフ場経営の課題は決して小さくありませんが、知恵と工夫、そして関係者全員の努力により、必ず乗り越えられると信じています。日本のゴルフ文化を次世代に引き継ぐため、今こそ行動の時です。






